基本的に、眼瞼下垂手術は、両眼同時手術である方が手術の成功率が圧倒的に上がります。
理由として、眼瞼下垂症手術において、左右差が出てしまう原因にはいくつかありますが、大きなものとして麻酔の使用による効果という要素があります。
局所麻酔を使用することで、手術操作に伴う激しい痛みを無くすことはできるのですが、結果として、瞼が液体を注入した分膨らんでしまいます。
膨らめば、ボリュームが増えますので、その分、デザインがズレてしまいます。
さらに、麻酔には、筋肉の動きを麻痺させる作用があります。したがって、麻酔をかけるとその分、上がりづらくなります。
結果として、術中に左右左を見ても、片目手術の場合ですと、合わせが難しいと言えます。
高田眼科(ひとみ眼科)の手術では、麻酔の使用量は片眼2cc以下とかなり少なくするように努力しております。
少ないと、麻酔の効きが浅くなり、麻酔がすぐに切れるため、相当に手術時間を短くしないと、結果的に最悪のタイミングで追加の麻酔をすることになります。
したがって、左右差を少なくするには、基本的には、両眼同時手術をすることが最低限、必要条件だと思っております。
そのためには、少ない麻酔での短い手術時間で、両眼を完成させるための手術のスピードが出せる手術の腕が必要となります。
また、片側の眼瞼下垂のみに対する治療では、手術前では、治療しない側の眼瞼挙筋が、無意識に過度に収縮して、本来の位置よりもまぶたを高くあげています。
そして、例えば、手術により、眼瞼下垂の側のまぶた(右目)が正常化すると、反対側のまぶた(左目)が本来の位置まで下がると考えられます。
この現象をヘリング現象と呼ばれるもので、結局、左目の手術を後から追加するケースがあります。
そして、今度は、左目の手術を追加すると、先に行った右目の眼瞼下垂症の状態に少し戻ってしまい、左右の調整が難しくなるというわけです。
さらに、他院修正手術ですので、さらに、左右差のリスクが上がりますので、ご理解ください。
したがって、片眼のみの手術を行う場合には、どうしても左右差が起こる可能性が高くなることを十分に承知して頂いて、手術に望んで頂ければと思います。